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尹 煕倉「蒼々茫々」展@ACG Villa Kyoto

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この度、京都のACG Villa Kyotoで「蒼々茫々」(そうそうぼうぼう)と題した個展を開催いたします。
ACG Villa Kyotoは京都の北白川にあり、日本の美意識と環境工学に基づいた住宅の理想形を追求した藤井厚二が設計した数寄屋造りの住宅です。
建物は1934年築で、現在は登録有形文化財に指定されており、ARTCOURT Galleryのビューイングルーム(紹介予約制)として運営されています。
建物の玄関の青いタイルを再現して平面と立体に仕立て、この洗練された和の住宅空間に配しました。

「蒼々茫々」な時間

蒼は青。茫はぼんやりとした様子。

徳冨蘆花が明治33年に出版した「自然と人生」のなかで6月の逗子の夕暮れ時を「物は物と互いに融け、恍として無我の境に入る。人語なく、物音なく、灯影なし。唯蒼々たり。茫々たり。」と描写している。本を読み返すたびこの一節に目が止まり、その恍とした時間と風景をしばし夢想する。

ACG Villaを初めて訪れた時、緊張しながら踏み入れた玄関の足元に蒼いタイルを見つけた。その深い色合いと、おぼつかない調子の温かみになぜか気持ちが和んだことを覚えている。

蒼いタイルの釉薬を再現してみた。それを立体と平面に変奏するように仕立てて居室の連なりに配した。

奥へ奥へと導かれるようなこの洗練された空間に、もう一つのレイヤーをそっと被せて、二つの世界が共振する時間が立ち上がることを願った。

― 尹 煕倉

TITLE
尹 煕倉「蒼々茫々」
DATE
2022年10月29日(土)—11月26日(土)
VENUE
ACG Villa Kyoto
URL
www.artcourtgallery.com/kyoto/
note
*本展覧会は完全予約制です。